🐾 家族とカルカンを守る戦士よ

鳴けば動く便利なやつら

おっ、ぱやぱやくんじゃん。

旦那の机にぽつんと置かれていたのは――
あのネコキャラでおなじみ、防大出身、元幹部自衛官の“メンタル本”。
X(旧Twitter)ではフォロワー約30万人の人気者らしい。

中身はというと、

「世の中は戦場だ」

「テロリストの見分け方」

「防空識別圏を設定せよ」

……とまあ、物騒な見出しが並んでいるけど、要するに対人関係の防衛マニュアルらしい。

現実の旦那ときたら、

交友関係:スーパーとドラッグストアの人、あとは謎の「何かもらってくる」活動

任務:三女・ワシへの兵たん補給、自宅警備、いびき砲の発射係

ページをめくる旦那の目は真剣だった。

「開き直り」
「真剣勝負したら、負け」
「業務押し付けミサイル」

ページをめくるたびに、うなずく、うなずく、うなずく――
たぶん脳内で転勤前の職場がリプレイされている。
“心のゲリラ戦”はまだ終わっていないらしい。

それでもワシには見えている。

毎朝起きて三女の弁当を作り、
ワシが空のご飯入れの前で鳴くたびに、
「カルカン18歳から」をちゃんと出してくれる――
それがワシらにとっての“信頼関係”なのだ。

人間には人間の戦いがある。
だが、ワシは静かにこう言おう。

「防空識別圏? せいぜいワシらの生活だけは死守してくれよ、隊長殿」

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