「いや~、政治の話もしはじめて、急に変わってきたよ」
と、旦那が電話で奥さんに報告していた。
しま暮らしも2年目に突入し、三女の様子が明らかに変わってきたという。
たしかに――最初は、学校と家の往復だけ。
休みの日は、家猫のワシと同じくらい、外に出ていなかった。
でも最近は、旦那とカフェ巡りをしたり、ふらりとドライブに行ったり。
学校に行きたくない日があっても、
「じゃあ、川でも行ってみるか~」
「海、今日は荒れてるかな~」
と、旦那がさーと車を出す。
まったく、ふらふらしてるだけかと思っていたが、
これはこれで“流しの癒やし屋”としての立ち位置を確立したようだ。
ドライブ中に潮風を感じると、三女もスーッと表情がゆるむ。自然の力は大きい。
学校でも、小競り合いはあるらしい。
でも、前の学校ではストレスが「10」だったのが、今は「3」。
「うちも猫社会だし、グルーミングの揉め事くらいはある」といったところか。
ありがたいのは、学校の“ゆるさ”。
「大丈夫ですよ~、自分のペースで」
と、教頭先生が言ってくれるらしい。
そのゆるさに、親も子も救われている。
毎日、神経をすり減らしていた三女のしっぽも、今はふにゃっとやわらかい。
目元もずいぶんやわらかくなった。
この家は、ちゃんと“再生の道”を歩んでいる。