🐾保健室は混雑

ニンゲンたちのゴタゴタ
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三女の学校でいちばん人気のスポットが、保健室だという。

この日はひとり、またひとりと集まり――
気づけばクラス15人のうち、クラスメート4人が集まっていたらしい。

誰かとこじれた子、家でうまくいっていない子、ただしんどい子。
それぞれに、心の奥に残った小さな傷あとみたいなものを抱えている。
だから、「ちょっと休もう」が、ちゃんと許される空気がある。
それだけで、少し楽になる。

先生も、それなりに理解はしている。
……が、新しく来た先生の中には、まだその空気をうまく感じ取れない人もいるらしい。

「またさぼってるな~」と、柔らかく声をかけたつもりが、
受け取る側は「さぼってるわけじゃないんだけどな」と、もやっとする。
“優しいけど、浅い”。このギャップ、地味にダメージがくるのだ。

そんな中、三女はきのう学校を休んだ。

「何かね、教室にいると“こうあるべき”っていう空気がしんどくて…」とぽつり。

でも、すごいのはそのあとだった。

「だから、自分でカウンセラーに予約入れた。メールの文面も考えた」
とのこと。

すごいじゃないか。ワシなんか、空気が悪いと押し入れに逃げるだけなのに。

三女は、少しずつ、自分のペースで、
“しんどさへの対処”を身につけているのかもしれない。

保健室が混雑するのは、悪いことじゃない。
むしろ、そこに避難できる文化がある学校は、ちょっといい学校だと思う。

「教室にいられる」ことだけが正義じゃない。
「いられないときに、どうするか」が、生きる力なんだと――
ワシは、押し入れから思うのである。

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