4年前。旦那と奥さんが、家中に火花を散らすほどの大喧嘩を繰り広げた。
原因は――家事。
もっと言えば、“やらない旦那”。
ワシ(猫)から見ても、当時の旦那は昭和の置き物だった。
ついに、奥さんが限界を超えた。
その日から、旦那は一変。
朝6時半に起き、娘たち(当時、長女・次女は高校生)の弁当をつくり、風呂掃除に、洗濯、掃除機…。
とにかく「黙々」だった。
そして、夜な夜な読んでいたのがこの一冊。
この本、要点は――
男性は「認められたい」、女性は「大切にされたい」
問題が起きたとき、男は「解決したがり」、女は「聞いてほしいだけ」
――それぞれの“戦場”がまったく違うと知ることから始まる。
旦那いわく、
「男と女は、同じ地図を持ってると思ってたけど…そもそも“別の星”から来てたらしい」
と、わりと衝撃だった模様。
奥さんを“怒りの火山”としか思っていなかった彼が、
「これは“ニーズのすれ違い”というプレート運動なのだ」と認識を改めたようだ。
あれから月日は流れ――
今、長女は大学院1年生、次女は大学4年、三女は高校3年。
ワシの目から見ても、見事な“家族チーム戦”が繰り広げられている。
奥さんは本土から母艦のように支援。
長女は研究で撃沈しながらも前進。
次女は学費免除にヒヤリとしながらも踏ん張り。
三女は、学校と自分との距離感を取りながら、一歩ずつ歩んでいる。
そして旦那は、島で“隊長?”として、弁当係、送迎係、雑務長官、そして“観察ネコ係”を務めている。
たぶんあの本を読んだだけでは、何も変わらなかった。
けれど、あの時「変わろう」と思ったことが、何かを少しずつ動かした。
もう、恋人でもない。
新婚でもない。
でも、チームとしての家族。
ワシは今日も押し入れから、家族の“作戦会議”を聞いている。
そして思う。
夫婦って、家族って、「変わる勇気」と「カルカン18歳から」の継続支給によって成り立っているのだと。