「お〜、ほほほ!!」
突然、旦那が奇声をあげて踊りだした。
両手を振り回し、腰をくねらせるという謎の舞。
ネコの目から見ても、なかなかのホラーだった。
原因はひとつ。
三女が帰省先の本土から、ケンタッキーフライドチキンを買ってきたのだ。
箱を開けると同時に、油とスパイスの香りが家じゅうに充満し、
旦那は完全にトリ(※鳥)に取り憑かれた。
あのふたり、本土では筋金入りのジャンク中毒だった。
マック、ケンタ、モス、ピザクルサ、サーティーワン…。
週末ごとに“FCの儀式”を欠かさなかった。
島に引っ越してからは、それらがすっかり絶たれた。
まるで断食生活のような、静かで清らかな日々。
まあ、ワシは最初からカリカリ一択だけどな。
だからなのか、たまに離島向けサービスで
「マックのキッチンカーが来るぞ!」「吉野家!」「ピザ来たー!」と、
奇跡でも起きたかのように大騒ぎする。
今日も見事なまでの“歓喜の声と舞”だった。
まったく、人間という生き物は単純で面白い。
とはいえ、少しずつ変化も見えている。
旦那の腹は明らかに引っ込み、三女の目元にも光が戻ってきた。
ワシの観察によれば、ジャンク断ちは効く。これは間違いない。
ちなみにワシは今も「カルカン パウチ 18歳から」を与えられている。
実年齢はさておき、健康に気を遣っているらしい。