たつき諒さんの漫画『私が見た未来』に書かれていた《2025年7月の大地震》という不穏な予言を口実に、
関西組の長女、次女、そして奥さんが、ぞろぞろと島にやってきた。
久しぶりに姉たちと母親が揃い、三女もどこかホッとした様子。
リビングには笑い声が戻り、ワシ(猫)はスリスリ・抱っこの大渋滞に巻き込まれるのであった。
港で出迎えたあと、そのまま近所のスーパーに立ち寄った一行。
鮮魚コーナーで早くもヒートアップ。
「イサキがある~」「トビウオ2匹で150円!?ありえん。てか、関西ないし!」
と、長女・次女がぱんぱんのレジ袋を抱えて大興奮。
その横で、旦那と三女がなぜかやたらとドヤ顔。
「いや〜、うちではこれ普通やし」
「こっちじゃ、このクオリティが日常やから」
2人して“島民歴2年の魚マウント”を始める始末である。
島の物価と刺身の質に関して、謎のプライドで団結する。
団らんはますますヒートアップ。
三女のベッドに長女・次女がもぐりこみ、スマホで写真を見せ合ったり、動画を観たり、
ときどきワシを抱き上げて「癒やし~」「パンダ、かわいすぎる〜」とスリスリされる。
昼寝は、もはや“夢”である。
耳元で笑い声が弾けるたび、ワシのしっぽがビクビク跳ねる。
だが、それでも。
三女の表情がふっとやわらかくなるのを、ワシは知っている。
母の声に、姉の笑い声に、彼女の体から力が抜けていくのがわかる。
たつきさんの予言は外れた。
地震は来なかった。
だが、やってきたこの団らんこそが――
この家族にとっての「今、必要だったもの」だったのかもしれない。