「やっぱり、怖いわ」
そう言って、関西で暮らす旦那の長女、次女が、なぜか続々と帰ってきている。
特に何かの宗教を信じてるわけでもない。スピリチュアル系にも弱いわけじゃない。
そう、きっかけは“あの漫画”らしい。
1999年に発売された漫画家・たつき諒さんの単行本『私が見た未来』。
当時は話題にならなかったが、表紙に《大災害は2011年3月》と書かれていたことから――
東日本大震災を“的中”させていたと、2020年ごろから話題沸騰。
そして2021年には《2025年7月》に起こるという“新たな予知夢”を記した完全版が出版されてしまった。
曰く――
《日本とフィリピンの中間あたりの海底がボコンと破裂》
《太平洋沿岸の国に大津波が押し寄せました》
……とのこと。
そんな中で、長女次女は、まさかの“逃避行”決行。
「いや、カルトじゃないよ」
「でもなんか、ちょっと不安…」
と、関西から移動開始。
すると、旦那のテンションが一気にバグった。
浮かれる旦那、うずく幹事魂
「よっしゃ、居酒屋予約しよ!」
「焼き肉にも、いこうか?」
地震は来るかもしれないけれど、旦那の頭の中はすでに「全員集合!夏の家族祭り」。
スケジュールを組むその様子は、もはや修学旅行の引率教員。
ちなみに、島は……
というと、
活断層も少なく、プレートも遠く、地震はほぼ来ない。
本土が揺れても、こっちは「え?あったの?」レベル。
洗濯機の脱水の方が揺れるくらいである。
娘が2人帰ってくる。
奥さんもついてくる。
旦那は浮かれている。
つまり――
ワシの争奪戦になる。
ぬくもりの奪い合い、スリスリの応酬、動画撮影のターン。
「帰ってきてよかった~」と喜ぶ顔の背景には、
ワシの尻が5回くらい写るであろう。
最終的に、
「たつきさん、ありがとう」
という謎の感謝で終わる我が家の2025年7月であってほしい。
何も起きなければ、それがいちばん。
そして、たとえ何もなかったとしても――
家族で笑って集まれたことこそが、最大の防災。
ただひとつ、ワシの体力が保てるかだけが心配だ。